「げっぷ」や「おなら」は、体にたまった空気やガスを外に出す、誰にでもある自然な現象です。ただし、これらが頻繁すぎたり、日常生活に支障をきたす場合には、消化器の不調や心理的な要因が関係していることがあります。
消化器内科の受診をおすすめする理由
「げっぷ」や「おなら」は、その背後に消化器疾患や体調の異常が隠れていることも少なくありません。
特に症状が長引く場合や、いつもと違う不快感を感じたときには、当院へご相談ください。
注意しておいたほうが良いげっぷやおなら
経過観察でよいげっぷやおなら
- 食後や炭酸飲料を飲んだ後の軽いげっぷやおなら
- 緊張やストレス時に一時的に増えるげっぷ
- 早食いや飲み込み癖があるときのげっぷやおならの増加
- 食べ過ぎや脂っこい食事のあとのお腹の張り
- 便秘がちなときに増えるおなら
こうした場合は、食生活や生活リズムの改善で自然と症状が落ち着くことが多いです。
病院で診察が必要なげっぷやおなら(受診をおすすめするもの)
- げっぷやおならが1日に何十回も頻繁に出る
- 胸やけ・喉の違和感・胸の痛みがある
- お腹の張りや不快感が慢性的に続く
- おならがまったく出ない
- 腹痛や吐き気がある
これらの症状は、何らかの消化器の病気が関係している可能性があるため、消化器内科での検査や治療が必要です
げっぷを生じやすい消化器疾患
食道裂孔ヘルニア
胃の一部が横隔膜のすき間(裂孔)を通って胸のほうへ移動する状態です。胃と食道の接合部がゆるむため、空気が逆流しやすくなり、げっぷが増えることがあります。
逆流性食道炎
胃酸や胃の内容物が食道に逆流して、食道に炎症を起こす病気です。げっぷとともに、胸やけや呑酸(酸っぱい液が上がる感じ)が見られることがあります。
機能性ディスペプシア
食道・胃・十二指腸の粘膜に炎症などの器質的な異常がないにもかかわらず、胃もたれや腹部の不快感、げっぷが続く病気です。胃の運動の乱れや過敏性、ストレスの影響が関係していると考えられています。
呑気症(空気嚥下症)
無意識に空気を大量に飲み込むことで起こる症状です。げっぷや腹部の張り、腹痛の原因になることがあり、早食いやストレス、ガムや炭酸飲料の摂取が関係します。
頻繁におならを生じやすい疾患
過敏性腸症候群
腸が過敏になり、わずかな刺激でもガスがたまりやすくなります。おならの増加とともに、下痢や便秘を繰り返すことがあります。
便秘症
腸内に便が長時間とどまると、発酵によってガスが多く発生し、おならの頻度が増えます。膨満感を伴うことがよくあります。
呑気症(空気嚥下症)
無意識に空気を大量に飲み込んでしまう習慣で、げっぷやお腹の張り、腹痛の原因になります。早食いやストレス、ガム・炭酸飲料の常用が関係します。
おならが出なくなる疾患
腸閉塞
何らかの原因で、小腸や大腸などの腸管が塞がれている状態を腸閉塞と言います。腸の中が詰まり、ガスや便が通らなくなる危険な状態です。強い腹痛、吐き気、膨満感などを伴い、すぐに医療機関での対応が必要です。
重度の便秘(糞便塞栓)
硬くなった便が腸内で詰まり、ガスの排出も妨げられます。腹部の張りや痛みが強くなることがあります。
麻痺性イレウス
腸の動きが止まり、ガスも動かなくなる状態です。手術後や感染症、全身状態の悪化が引き金となることがあります。
大腸がん
腸閉塞の原因ががんであることもあります。早期発見のためにも、定期的な大腸内視鏡検査が重要です。
げっぷやおならの検査方法
胃内視鏡検査(胃カメラ)
食道・胃・十二指腸の粘膜を直接観察する検査です。逆流性食道炎や胃潰瘍、食道裂孔ヘルニアなどの器質的な病変の有無を確認するのに有効です。 これまでの検査がつらかった方には、鎮静剤を使用して、眠ったような感覚で受けられる方法もあります。ご希望の方は、どうぞお気軽にご相談ください。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
肛門からカメラを挿入し、大腸の内側を直接観察する検査です。小さな病変の発見や、必要に応じて組織を採取して調べることもできます。ポリープが見つかった場合は、その場で切除を行うこともあります。
これまでの検査がつらかった方には、鎮静剤を使用して、眠ったような感覚で受けられる方法もあります。ご希望の方は、どうぞお気軽にご相談ください。
腹部X線・CT検査
腸の中にガスがたまりすぎていないか、腸閉塞が起きていないかなど、お腹のガスの状態を確認する検査です。