胃がんとは?
胃がんは、胃の内側を覆っている粘膜の細胞ががん化し、周囲に広がっていく病気です。
日本では2022年に新たに112,617人が胃がんと診断されており、がんの中でも上位に位置する代表的な疾患のひとつです。
同年の胃がんによる死亡者数は40,302人で、がん死の第3位にあたります。
胃がんの多くは70歳以上の高齢者に発症し、特に男性に多くみられますが、スキルス胃がんのように女性に比較的多いタイプの胃がんも存在します。
スキルス胃がんは胃の壁の中にしみ込むようにがん細胞が広がるタイプで、がんが進行してから見つかることが多いため注意が必要です。
自覚症状がほとんどないケースもあり、定期的な検査の重要性が高まっています。
原因・背景にある要因
胃がんの最も大きな原因は、ヘリコバクター・ピロリ菌という細菌の感染です。
この菌は胃の中に長期間住みつき、慢性的な炎症を引き起こします。
炎症が長く続くと胃の粘膜が萎縮し、やがて胃がんへと進行することがあります。
近年ではピロリ菌の除菌治療が保険適用となり、若い世代での感染率は低下傾向にありますが、中高年層では依然として感染者が多く、胃がんのリスクも高いままです。
そのほかにも、塩分の多い食事、喫煙、飲酒、不規則な生活、ストレス、そして遺伝的な体質が発症に関わっていると言われています。
また、家族に胃がんの人がいる場合は、自身のリスクも高くなる可能性があります。
主な症状
胃がんは、早期の段階では自覚症状がほとんどないことが多く、症状が出る頃にはある程度進行していることもあります。
代表的な症状には次のようなものがあります。
- 胃の不快感や痛み
- 食欲の低下
- みぞおちの張りや膨満感
- 胃もたれ
- 少量でお腹いっぱいになる感じ
- 吐き気
- 嘔吐
- 体重の減少
- 貧血によるだるさやめまい
などがあげられます。
また、黒っぽい便(タール便)が見られる場合は、胃からの出血の可能性があり、注意が必要です。
スキルス胃がんのように進行が早く症状が乏しいタイプもあるため、無症状であっても定期的に検査を受けることが大切です。
診断方法
胃がんの診断には、内視鏡検査(胃カメラ)が最も有効とされています。
胃の内側を直接観察し、必要に応じて、疑わしい部分から小さな組織を採取し、病理検査で確定診断を行います。
早期の小さながんを発見することも可能です。
当院では、内視鏡システムとしてオリンパス社製の最上位モデル「EVIS X1」を導入しています。
高精細な画像と、特殊光を用いたNBI(狭帯域光観察)モードを活用することで、胃全体をより詳しく観察でき、従来よりも精度の高い診断が可能になりました。
検査時間はおおよそ5〜10分程度ですが、以前に検査がつらかった方や内視鏡検査に不安がある方には、鎮静剤を使用してウトウトした状態で、ほとんど眠っているような感覚で受けていただくこともできます。
ご希望の際は、お気軽にご相談ください。
がんの広がりや転移を調べるためには、CT検査や血液検査も行われます。
ピロリ菌感染の有無を調べる検査(尿素呼気試験や迅速ウレアーゼ検査、抗体検査など)も、リスク評価に役立ちます。
胃がんは初期には自覚症状が出にくいため、定期的な内視鏡検査による「早期発見」が何より大切です。
治療方法
早期の胃がんであれば、内視鏡を使った切除(ESDやEMR)によって、体に大きな負担をかけずに治療が可能です。
進行した胃がんでは、胃の一部または全体を切除する外科手術が基本となり、必要に応じて抗がん剤(化学療法)や放射線治療が加えられます。
近年では、がん細胞の性質に応じて薬を選ぶ「分子標的治療」や、免疫の力を利用する「免疫チェックポイント阻害薬」など、新しい治療法も使われるようになっています。




